広瀬絣技術保存会

広瀬絣技術保存会

 広瀬絣は、文政年間(1818~1830)に、長岡貞子(町医者長岡謙祥の妻)、が米子から技術を学び、創始したといわれる。その後、弘化・嘉永(1844~1855)頃に、織り方・染め方に改良が加えられ、広瀬絣の基礎がつくられた。明治20年頃からは、それまでの地機から改良を加えた高機へ変わり、生産の能率化がはかられた。また、絣織りの伝習所が開設され、工場も会社組織により経営されるようになり企業化が進められる。明治30~40年頃が広瀬絣の全盛期であり、年間の生産高も1.0~13万反であったといわれる。大正以後、廉価な備後絣や伊予絣等に市場を圧迫され始めたところへ、大正4年(1915)の広瀬大火で機業場は徹底的な打撃を受ける。
その後次第に減少し戦後は、自給自足的に生産される程度となった。広瀬町では、昭和36年(1961)に広瀬絣振興会を結成、昭和66年(1981)には広瀬絣伝習所(現広瀬絣センター)を発足し、技術保存と後継者の育成に努めている。

 広瀬絣は、広瀬の大柄・備後の中柄・久留米の小柄といわれる大柄の絵模様を特長とする。複雑精密な絵模様を正藍一色に濃淡を交えて交錯し、正確に図柄が浮かび出るように織り上げるものである。
昭和37年6月12日付けで島根県指定無形文化財に指定。昭和47年4月10日付けで、「国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」にも選択されており、歴史的にも芸術的にも価値が莉く、また地方的な特色の顕著な我が国の工芸技術として評価されてきた。

縞入り唐花文

竹にふくら雀文

文字文

水に亀紅葉文

蜻蛉文

吉祥文

広瀬絣技術保存会会則

(名称)
第1条この会は、広瀬絣技術保存会と称する。
(事務局)
第2条この会の事務局を島根県安来市広瀬町広瀬1858-4に置く。
(目的)
第3条この会は、広瀬絣の製作技術の保存および継承と、広瀬絣に関わる記録調査に努め、広瀬絣の振興を図ることを目的とする。
(活動・事業の種類)
第4条この会は、前条の目的を達成するために次の事業を行う。
(1) 広瀬絣の製作技術の伝承者養成と技術の練磨
(2) 広瀬絣の製作技術の伝承者養成にとって不可欠な諸道具や材料の供給および継承した技術を生かせる環境づくり
(3) その他、目的を逹成するために必要な関連事業
(会員)
第5条この会の会員は、次のとおりとする。
(1) 正会員は、この会の目的に賛同し入会した者とする。
(2) 賛助会員は、この会の事業を賛助するために入会したものとする。
(入会)
第6条会員として入会しようとするものは、入会申込書を会長に提出し、役員会の承認を得るものとする。
(会費)
第7条会員は、
(1) 正会員
(2) 賛助会員
(退会)
以下に定める会費を納入しなければならない。
年会費5,000円
年会費1口1,000円(1口以上)
第8条会員は、退会届を会長に提出し任意に退会することができる。
2 会員が、次の各号のいずれかに該当するときは、退会したものとみなす。
(1) 本人が死亡したとき
(2) 会費を2年以上納入しないとき
(3) その他、この会の名誉を著しく傷つけたとき、またはこの会の目的に反する行為をしたとき
(役員)
第9条この会には、次の役員を置く。
(1) 会長1名
(2) 副会長2名
(3) 監査役1名
2 第1 項に定める役員は、会員の互選により選出する。
3 役員の任期は2年とする。ただし、再任を妨げない。
(職務)
第10条会長は、この会を代表し、その業務を統括する。
2 副会長は、会長を補佐し、これに事故あるいは欠席のときは、その職務を代行する。
3 監査役は、会の業務および財産の状況を監査する。
(解任)
第11条役員が次の各号のいずれかに該当するときは、総会の議決により、これを解任することができる。
(1) 心身の故障により、職務の執行に堪えられないと認められるとき。
(2) 法令の規定又は会則規定に著しく違反したとき
(3) 職務上の義務に著しく違反したとき
(総会)
第12条この会の総会は、正会員を持って構成し、年に1 回開催するものとする。ただし、必要があるときは臨時に開催できるものとする。
2 総会は、以下の事項について議決する。
(1) 会則の変更
(2) 解散
(3) 事業の変更
(4) 事業報告及び収支決算
(5) 役員の選任又は解任
(6) その他会の運営に関する重要事項
3 総会は、正会員の過半数の出席がなければ、開会することができない。
(議事録)
第13条総会の議事については、議事録を作成する。
(役員会)
第14条役員会は役員を持って構成する。ただし、監査役を除く。
2 役員会は、総会の議決した事項の執行に関する事項及びその他総会の議決を要しない業務の執行に関し、議決する。
(事業報告書及び決算)
第15条会長は、毎事業年度終了後2 か月以内に事業報告書、収支計算書を作成し、監査
を経て総会の承認を得なければならない。
(事業年度)
第16条この会の事業年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。
(事務局)
第17条この会の事務を処理するため、事務局を置く。
(委任)
第18条この会則に定めのない事項は、総会の議決を経て、会長が別に定める。
(変更)
第19条この会則は、総会において、出席者の3 分の2 以上の承認がなければ変更できない。
附則
— この会則は、平成22年3月1日から施行する。ただし初年度の会計年度は、施行日から翌年の3月31日とする。
— この会の設立当初の役員は、次に掲げる者とする。
会 長 永田佳子(島根県指定無形文化財技術保持者)
副 会 長谷本節子
副 会 長天野順
監査役 高浜瑳知子

広瀬絣技術保存会賛助会員募集のご案内

『広瀬絣技術保存会』は、広瀬絣の製作技術の保存および継承と、広瀬絣に関わる記録調査に努め、広瀬絣の振興を図ることを目的として平成22年3月に発足いたしました。今後、広瀬絣の製作技術の伝承者養成や機道具等の供給および環境づくりに貢献してまいります。

広瀬絣は、昭和37年に「島根県の無形文化財」に指定され、昭和47年には「国の記録作成等の措置を講ずべき無形文化財」に選定されました。歴史的にも芸術的にも価値が高く、また地方的な特色の顕著な我が国の工芸技術として評価されています。この技術の伝承は、前広瀬絣伝習所所長天野圭(島根県指定無形文化財保持者•勲六等瑞宝章受賞・現代の名エ)が長年尽力してきましたが昨年他界いたしました。
伝統の継承は、一個人でできることではありません。そこで、この機に天野圭が広瀬絣の後事を託した永田佳子(天野圭の四女)・天野順(天野圭の三男)を中心に広瀬絣技術保存会を立ち上げ、技術修得者の方々と共に後世に伝えていくことにいたしました。さらに、広く一般の方にも参加していただき会を盛り上げていただけたらと願っております。

本会では、広く企業、団体、個人の皆様に賛助していただき、その会費を広瀬絣技術保存の推進に役立てていきたいと考えております。なお、会費はーロ1,000 円よりお願いしております。なにとぞ、本会の趣旨をご理解いただき、より多くの方々の御支援、御協力を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。

広瀬絣技術保存会賛助会員入会申込書(PDF)

広瀬絣技術保存会設立役員プロフィール

会長 永田佳子 昭和26年広瀬町に生まれる(天野圭の四女)
昭和48年天野圭の元で広瀬絣に従事
昭和56年広瀬絣伝習所講師
平成17年日本工芸会中国支部展日本工芸会賞受賞
  ”  島根県指定無形文化財保持者に認定
平成22年広瀬絣伝習所所長
  ”  日本工芸会中国支部幹事(染織部会副部会長)
副会長 谷本節子 昭和23年安来市に生まれる
昭和57年広瀬絣伝習所入所(二期生)
昭和60年広瀬絣伝習所講師助手
平成22年広瀬絣伝習所講師
  ”  日本工芸会中国支部展島根県知事賞受賞
副会長 天野順 昭和32年広瀬町に生まれる(天野圭の三男)
昭和63年天野圭に師事し藍染めに従事
平成2年国立松江工業高等専門学校機械工学科勤務
平成7年国立松江工業高等専門学校機械工学科助教授
平成17年工学博士取得
平成21年広瀬絣藍染工房を開業